スポーツ走行の落し穴
車好きにとって、自分の車を人より早く走らせる喜びは何物にも変え難い喜びに繋がる。またその訓練を通して運転レベルのアップも体感できる。しかし、その走行には大きな落し穴がある事を忘れてはいけない。
その落し穴は3つの限界であると考える。
自己の限界:各種走行会にて徐々にレベルアップが図れるが、目安は恐怖?
車の限界:タイヤやサスのチューニングで向上は出来るがマッチングが重要
コースの限界:最も判りにくい限界であり他人のタイムと自己の限界から冷静に判断
コースは車の限界やドライバーの恐怖心へ働きかけ、その状況下で、自己の限界と車の限界を探りながらドライブすることになる。ここで重要になるのは、“如何に正確にそれぞれの限界を見出しそこに近づけるか”が問題で、ドライバーは手探りで恐怖と戦いながらそれぞれを限界へ近づけることにある種の喜びを見出すのである。
ここで、私の経験から言うとスーパー7の場合は普通の人の限界よりも車の限界が遥かに高いところにあると言う認識が重要。従って7の多くの事故は前から刺さる事故が多いのも理解できる。
一度もドライブした事は無いがクラブ員の方々のヨーロッパやエランもきっと通常の人間の限界よりも高い位置に車の限界があると考えられる。従って、通常領域でのドライブでも車任せではなく常に対話しながらドライブしまた仕掛けを行い車の挙動を学習していく必要がある。そうでないと、何かが起こるといきなり対処できない領域に突然踏み込んでしまうと言う事に他ならない。
スリップ角とは進行方向とタイヤのなす角度であり通常の走行では約2度以下の領域で使われている。 このスリップ角が5度以上ついた状態では殆どスピン状態に近い領域にきている。 すなわち、我々はサーキット走行においても精精5度以下のスリップ角をコントロールして、最良のコーナリングフォースを得る努力をしている事を頭に入れておきたい。 このコーナリングフォースは図中にもあるように垂直荷重によっても大きく変化する。ノーマルタイヤではすぐにサチュレート(ブレーク)してしまうが、Sタイヤやレーシングタイヤではとてつもなく大きいところまで性能が出されている。 |
タイヤが発生できる水平面内のあらゆる力の合力は垂直荷重に摩擦係数をかけた値以上になることは出来ないと言う“摩擦円”が存在している。 従って、この円の中で小さく走るか、最大限にして走るかがタイムに現れることになる。 また既に理解出来たと思いますが、減速時やコーナの出口などでスピンし易くなるのは、この摩擦円と前述の垂直荷重の考えで良く理解できることと思います。 |
旋回時は左図のように、白い横加速度と黒い接地点での横力が発生している。ここでいたずらに横力を増加させると車は転覆に繋がる。ロールする事により重心が上昇してくると、加速度的に転覆モーメントが増加しいとも簡単に転覆してしまう。従って、良いタイヤで横力を大きくした場合はサスペンションもそれなり固めないと非常に危険な状況が出来やすくなる。 通常の車の場合は左右の荷重移動量を大きくしてFrのタイヤを早目にサチュレート(ブレーク)させて旋回出来ないようにし転覆を回避する手段もとられてい |
転覆の話はさておき、このよな姿勢で旋回している時にアクセルをONやOFFする場合を考えると前後での荷重移動が発生しタイヤの発生する力のバランスが崩れる事になり、更にそれらが摩擦円の概念でどの程度横力と駆動、制動力が発生できるかが変わってくるので、簡単に旋回状態が変化してしまう。タックインとかはその典型でもっとも感じやすい現象である
以上にように、4輪の接地状態を考えながら走ると旋回していても楽しくなると思いますし、ハンドルで曲がるのではなくてアクセルとブレーキで走ると言うのはこのあたりの対話の上に成り立つ事である。
文責:鳥谷和史